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セッション3
:
病・医療・生物医学
3-4
疾病概念と人間種——フレックとハッキングの論考から
山中浩司(大阪大学)
ルートヴィヒ・フレックの思考スタイルや集合的思考といった概念はトーマス・クーンのパラダイム論を経由して科学社会学ではよく知られているが、医療社会学においてこれを問題にする論考は少ない、
1980
年代にフレックの多くの論文が英訳され、論集が出ているにもかかわらず、医療社会学における議論はごくわずかである。本報告では、フレックが問題にする民間疾病表象、ハンドブック科学、専門的知識の三者の間で生じるコミュニケーションや概念の流布について、現代社会における生物医学化の現象を事例として考察し、フレックの議論がクーンのパラダイム論と大きく異なる点を指摘したい。それによってクーンがおそらく見落としがちであった、異質なパラダイムあるいはスタイル間のコミュニケーションや併存の問題について考えたい。
次に、同じ事例をとりあげて、イアン・ハッキングが「人間種のルーピング効果」という論考で用いた
human kinds
という聞き慣れない用語と疾病概念との関連について検討し、概念とその内容の間に生じるルーピング効果を考える。
human kinds
も疾病概念も、生物医学的研究を上流として、下流に生じる人や症状のクラスではなく、異質な社会世界の接点や交流において発生する対象と考えることで、科学や医学の駆動力を科学者や医学者以外の世界に求める考えを示したい。